loading
background
dots
dots

「南張北溥」の芸術世界

「南張北溥」とは、近現代に活躍した二人の大家─張大千と溥心畬のことです。1935年、『北平晨報』という美術誌に「南張北溥」と題された芸術評論が掲載されました。張大千と溥心畬の画風の違いに触れ、明清代の画家と同列に論じた上で、前代の画家よりも「レベルが高い」とまで記されています。この評論は当時の画壇における張大千と溥心畬の地位と成果を示すのみならず、「南張北溥」とする賞賛も瞬く間に広まりました。 張大千は20世紀における中国画風の創始者とされています。溥心畬は20世紀の文人画派を代表する画家です。一人は大らかで雄大、もう一人は清らかで趣深く、二人の画風は異なりますが、二人とも独自の画風を創出し、絵画に新境地を拓いたのです。 この二人の芸術家は国立歴史博物館とも深い縁があります。張大千は晩年、新作を完成させるたびに展示を行うなど、博物館とも頻繁に交流を重ねました。現在、本館では張大千の書画作品227点を所蔵しています。そのほとんどが欧州旅行の際に制作された作品で、張大千の成熟した写意の画風から、晩年に溌墨・溌彩へと転化する芸術上の発展とその過程が見て取れます。溥心畬の本館所蔵作品は219点を数え、その多くが来台以降に制作された作品で、晩期の風格が窺えます。二人とも絵画の題材は非常に多元的です。本館ではこの度初めて「南張北溥」と題したオンライン展覧会を企画し、本館所蔵の画作30点を精選してご覧いただきます。山水画や人物画、花鳥画など、近代を代表する大家の芸術世界をご堪能ください。